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I型アレルギー反応を即時に阻止する抗IgE抗体Fabを作製

2018年12月12日

順天堂大学は11月20日、喘息、花粉症、食物アレルギーに代表されるI型(即時型)アレルギー疾患モデルに即効する抗IgE抗体Fab(クローン名:6HD5)の作製に成功したと発表した。この研究は、同大医学部附属練馬病院血液内科の平野隆雄客員教授、同大大学院医学研究科研究基盤センターの小柳明美助教、アトピー疾患研究センターの北浦次郎先任准教授および奧村康センター長らの研究グループが、理化学研究所の眞貝洋一主任研究員らと共同で行ったもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。

花粉症や食物アレルギーに代表されるI型(即時型)アレルギーは、近年著しく増加している。花粉・ダニなどのアレルゲンを認識するIgEは、マスト細胞の表面に存在するIgE受容体に結合してIgE-IgE受容体複合体を形成し、アレルゲンとIgEが反応するとIgE受容体は刺激を受け細胞内へ指令を出し、マスト細胞が活性化して即時にヒスタミンなどを放出(脱顆粒)する。その結果、血管の拡張や透過性亢進、平滑筋の収縮などが起こり、さまざまな即時型アレルギー症状が現れる。抗IgE抗体製剤(オマリズマブ)はIgEとIgE受容体との結合を阻害する作用から、I型アレルギー治療薬として臨床応用されているが、オマリズマブは治療効果が現れるまでに時間を要するという問題点があった。

研究グループは、I型アレルギーを即効的に長期間阻止する治療法の開発を目的として、IgEのさまざまな部位に結合する抗IgE抗体Fabを作製し、I型アレルギーモデルとして、ラットの受身皮膚アナフィラキシー(PCA)反応を利用してその効果を検証した。まずラットの皮膚にIgEを注射した後に、抗原を色素とともに静脈注射すると、皮膚局所のマスト細胞はIgEと抗原により活性化して脱顆粒する。脱顆粒により放出されるヒスタミンは血管透過性を上昇させるため、皮膚局所に色素が漏出する。その程度がPCA反応の強さを反映する。

作製したさまざまなタイプの抗IgE抗体Fabを皮膚に投与してからPCA反応を誘導したところ、抗IgE抗体のFab(クローン名:6HD5)が最も低い濃度でPCA反応を長期(10日間)にわたって阻止。この抗IgE抗体Fab(6HD5)がラットのマスト細胞の活性化を抑え、脱顆粒も強く抑制することを明らかにした。次に、この抗体Fab(6HD5)がIgEのどの部位に結合するかを生化学的手法で解析した結果、抗体Fab(6HD5)はIgE-IgE受容体複合体の機能維持に重要な箇所に結合することも明らかにした。

これらの結果から、抗IgE抗体Fab(6HD5)が、マスト細胞上のIgE-IgE受容体複合体に直接結合してその機能を著しく低下させ、抗原の投与によるマスト細胞の活性化を抑制し、I型アレルギー反応を阻止することが明らかになった。競合型の抗IgE抗体(オマリズマブ)がIgE受容体に結合するIgEに結合できないのに対し、抗IgE抗体Fab(6HD5)はIgE受容体に結合するIgEに結合できることを特徴として即効性を発揮する。また、Fabは抗体断片なので、副作用として懸念されるアナフィラキシーの可能性も少ないと考えられる。研究グループは「今後、ヒトへの応用を目指して抗IgE抗体Fab(6HD5)の詳細な作用機序を明らかにするとともに、今回の研究成果をI型アレルギー疾患の新たな予防・治療法の開発に繋げたい」と述べている。

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